こんにちは、まえやんです。
今回はタナカワークスの中国版トカレフ「五四式自動手槍」発火式モデルガンの写真をアップしていきながら、お話していきたいと思います。
トカレフ、誕生。
1929年の世界恐慌の発生以降、植民地を抱え込んだブロック経済化が進んだ1930年代、生き残り繁栄を求めた世界情勢の中、大きな争いに備えて各国は軍備の増強を推し進めていました。
ソビエト連邦において、最高会議武器委員であり武器設計者であるフョードル・ヴァシリエヴィチ・トカレフはロシア帝政時代からの制式拳銃である「ナガン・リボルバー」に代わる「TT-1930」を開発。
ナガン・リボルバーM1895
アメリカのM1911コルト・ガバメントやFN ブローニングM1903を参考に簡略できるところは簡略化、生産性やメンテナンス性、壊れにくさを実現した「TT-1930」は、ソビエト連邦の制式拳銃として採用されます。
その後さらに改良が続けられ「TT-30」が誕生しました。
この「TT-1930」と「TT-30」が、いわゆるトカレフ拳銃と呼ばれます。
TT-33 トカレフ
トカレフ、活躍。
トカレフが最も威力を発揮したのは、第二次世界大戦での対独戦でした。
極寒という過酷な環境の中、ドイツのルガーP08やワルサーP38はその精密さゆえにトラブルが続き、シンプルさを追及したトカレフはとにかく頑丈であったそうです。
第二次世界大戦終結から6年後の1951年にマカロフ拳銃が制式採用されトカレフは一線を退きましたが、その設計思想による頑強さと威力の高さにより長く使用され続けています。
マカロフ
トカレフ、中国へ渡る。
1949年に建国した中華人民共和国は軍備の国産化を目指し、ソビエト連邦から技術者を招聘。
まずはソビエトからパーツを輸入し組み上げることで「五一式自動手槍」を製造、安定供給を実現します。
しかしながら中ソ関係の悪化が始まり技術者は帰国、パーツの供給も途絶え、中国は自力での生産を余儀なくされます。
そうして生まれたのが純中国産トカレフ「五四式自動手槍」です。
五四式自動手槍
モデルガン 五四式自動手槍
正面から
それではタナカワークス製の発火式モデルガンをみていきましょう。
まずは正面から、ヘビーウェイトのマットな質感と手にしたときのずっしり感が本物っぽさを醸し出しています。
TT-33トカレフとそっくりですが、よく見るとスライドのセレーションやグリップの刻印などに違いがありますね。
フレームの刻印
フレームの刻印はカーニングや上下位置がずれているところがありますが、当時の刻印もこんな感じだったのでしょうか。
逆にカッコいい。
トリガーとスライドストップ
ノーホールのトリガー。個人的にこのデザイン好きです。
ぶ厚い手袋をしたままでも使用しやすいようトリガーホールは大き目。
スライドストップ逆側
スライドストップは逆側のクリップで留められています。
右側から
全体的に刻印は少な目、正面とスライド上面に少しある程度で、右側にはバレルも含め刻印が一切施されていません。
シンプルイズベストですね。
生産上余計な工数を減らすことはいいことです♪
グリップ
別名「黒星」と呼ばれる所以、グリップに星マークが刻まれています。
TT-33トカレフでは星の周りに数文字の刻印がありましたがこちらでは省略。
実銃ではグリップはプレス鋼板製で、資源の乏しかった戦時中などでは木製のものがあったそうです。
モデルガンでは樹脂製のものが採用されています。
銃身前部
スライド前部の窪みは、ガバメントやブローニングによく似ていますね。
マズル
銃口の構造はM1911ガバメントを彷彿させます。
ガバメントのトップリングは専用の工具を用いて取り外しますが、トカレフ系ではメンテナンス性を高めるため、道具ナシで着脱が可能。
ハンマー周り
前述したとおりトカレフはM1911コルトガバメントを参考に設計されていましたが、セーフティがオミットされています。
その分誤作動が少なくなるようハンマーは小さめに作られています。
リアサイトは少し高めで、ハンマーが引かれていなくても視認性は良好。
フロントサイト
フロントサイトは固定式です。
この時代にはホワイトドットはまだありません。
スライド上部
スライド上部はシンプル。セレーションは施されていません。
スライド刻印
2か所目の刻印は、スライド上面に。
漢字で「五四式」。
漢字刻印は銃器全般的に数が少ないので個性的。
マガジン
シングルカラムのマガジンは8発装填。
タナカワークスのTT-33トカレフにはマガジンにランヤードリングがついていますが、五四式にはナシ。
スペアマガジンは両方揃っているのでお買い求めの際は間違えないように!
カート
カートはドイツのモーゼルC96で使用されていた系統から 7.62x25mm弾。
特長的な形をしていて、実銃では9mmに比べて貫通力が高かったとのこと。
パッケージ
パッケージはこちら。50年代の雰囲気でしょうか?味がありますね。
タナカワークスの中国版トカレフ「五四式自動手槍」、いかがでしたでしょうか?
東側の武器としても人気が高く、コレクションに加えたい逸品でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
writer:まえやん